事例紹介
〇新規事例:事業承継および親会社・子会社の将来発展に向けた事業計画策定の支援
支援前の状況
■休眠中の子会社の事業展開に関する親子の見解の相違
オーナー経営のA社は地域の専門工事会社として成功し安定的な経営状況を有していた。現経営者は他にA社の営業機能を担う目的で子会社B社を設立していたが実質的には休眠状態にあった。最近、後継者となる長男が帰郷しA社に入社したことを契機に現経営者にはB社の復活を長男に任せ、B社経営を任せることにより将来のA社の事業承継への準備段階としたいといった意向があった。しかし、B社の将来の方向性について親子間で見解に相違があり調整がつかない状況となり、事業承継の進展には至っていなかった。
支援した内容
■今後の2社関係性の明確化を基本とする事業計画の策定
これまでは親子間で単にB社の将来に関する私見を述べあうといった限定された視点からの取り組みであったことから、2社経営の本質が不明瞭となっていたと判断し、本来の2社関係性の状況や2社の持つ潜在的な事業力の明確化などの観点から2社発展の方向性を具体化するA社も含めた事業計画を策定支援することとした。方法としては基本的には後継者と支援者が中心に事業計画のフレームを策定し、節目、節目で現経営者の確認と意見を取り入れ、徐々に完成し、親子での合意を得ていくこととした。
結果
■2社経営の本質的理解促進と事業承継に関する進展の実現
それまでB社はあくまでA社の営業機能を担うといった認識に留まっていた現経営者と親会社であるA社に関しての基本的な理解も無かった後継者双方が、事業計画策定を通して、改めて2社のあり方を見直したことから将来に向けた2社発展の方向性の共通理解を得ることができた。具体的には【2社関係性の現状】を業務内容面、組織体制面、資本構成面等から整理し、【最終的な2社の関係性】、【今後のグループ経営の基本コンセプト(グループビジョン)】等を明確化した。また、休眠状態のB社に関しては、改めて基本的な事業展開計画、A社とのシナジー効果、成長戦略等を決定した。結果として、後継者において2社経営を基盤とする事業承継に関する自覚が生まれ、経営および事業承継に関する時系列計画(アクションプラン)の策定ができた。