事例紹介

〇新規事例:「会社の強みを棚卸しして当事者意識を強化した事例」~知的資産経営フレームを活用~

支援前の状況

■安定した実績と業況、経営者のこの先への懸念

〇安定した実績と業況
当社は昭和に創業した建設不動産業で、エリア内では規模的には中堅、真面目な仕事ぶりと経営者の人柄などから、安定的な業績で推移している。
〇経営者のこの先への懸念
その一方で、東日本大震災後の特需はなくなり、業界全体で仕事量が減るとともに、コスト上昇が著しいほか、人材確保が急激に難しくなるなど、数年先の事業環境は、今のままでは更に厳しくなる可能性が高く、経営者は打開の方策を一人で思いあぐねていた。

支援した内容

■経営者と会話~懸念事項の整理、幹部社員による経営資源のたな卸しワーク

〇経営者と会話~懸念事項の整理
経営者と会話を重ねることにより、「喫緊の課題ではないが数年後には顕在化しかねない経営上のリスク」について整理するとともに、解決方法の選択肢を協議した。
その結果、解決方法のコアとなるものは、業態転換や各種経営改善など方法論の前に、現在の経営幹部及び幹部候補の当事者意識を高めること、であるとの認識に至った。
〇幹部社員による経営資源のたな卸しワーク
「現在の経営幹部及び幹部候補の当事者意識を高める」方法として、「知的資産経営ワーク」を行い、対象者の意識を高める手法を選択して、経営幹部を交えた約10回のワークを重ねた。
*参考 経済産業省 知的経営資産ポータルサイト
https://www.meti.go.jp/policy/intellectual_assets/index.html

その内容は、大きくは、「沿革振り返り」、「業務フロー分析」、「取引関係(商流)分析」から、「人的資産」「関係資産」「構造資産(仕組み)」を抽出したうえで、「現在のビジネスモデル」と「業界の変化、需要の変化」予測から、「将来のビジネスモデル」の構築から成っている。

結果

■幹部社員の意識変化、部門間の垣根解消、社長と幹部社員の関係も変化

〇幹部社員の意識変化
このワークを行った結果、幹部社員は、自社の強みと可能性、自分の果たすべき役割への理解が深まり、「指示待ち」が大きく減った。
〇部門間の垣根解消
これまでは、社長からの指示を実行する役割だったが、全社的な観点で考える意識が高まったことで、部門間にまたがる課題についても話し合って解決しようという動きが高まり、幹部会議でも意見が増えるなど、大きく変化した。
〇社長と幹部社員の関係も変化
その結果、指示をする側とされる側という関係だった社長と幹部社員が、幹部社員からの提案が増えたことで、話し合う関係に変わってきている。

現時点では、定量的な変化、直近の業績に大きな変化は無いが、社員の定着、成長の手応えを感じる場面が増えてきている。