事例紹介
東日本大震災による被災企業の出口戦略
支援前の状況
東日本大震災から10年近く経過した被災企業の二重ローンの解消
B社は作業着やギフトの販売業を営んでいたが、東日本大震災の影響で得意先の多くが被害を受け、売上が大きく減少した。震災以前からの銀行借入金も多額となっており、県の震災復興機構がこれを買い取り、借入金問題は棚上げとなったが、売上はその後も低迷していた。また、このような状況下で社長が病死したため、その息子が急遽社長に就任したものの、社員とのコミュニケーションがうまくいかず、経営の立て直しが急務となっていた。
支援した内容
今後の実現可能な事業計画の策定と二重ローンの解消スキームの策定
- 震災復興機構は、B社の出口戦略として今後の事業計画を策定し、取引金融機関からのリファイナンスによる一部二重ローンの返済を条件に、債務免除を行うこととした。
- 震災復興機構の委託に基づきB社のアクションプログラムを含む事業計画の策定を支援した。向こう10年間の利益計画に基づく返済可能額を試算した。
結果
地元金融機関の金融支援を受けて二重ローンを解消
- 震災復興機構は、上記利益計画に基づく向こう10年間の金融債務の返済可能額を基にB社のメインバンクにリファイナンス資金の融資を打診。その後、融資実行を受けて残りの二重ローンは債務免除した。
なお、これによりB社生じた債務免除益は、法人税法の特例による期限切れ欠損金の繰越控除の適用対象となり、免除益課税は生じなかった。
■ご相談者の声
アクションプログラムの実行支援を行った結果、PDCAサイクルの回し方が社内に浸透し、後継社長も次第に社員からの信頼を得、業績回復への目途を付けることができた。
財務内容が改善され、リファイナンスを受けた借入金の返済も順調に進んでいる。今後は、事業の発展に前向きに取り組んでいきたい。